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極私的視点(再)

思いついた時に、思いつきの文章とそれっぽい写真を大公開です。

曰く「私はいわゆる狸であるが、一介の狸であることを潔しとせず、天狗に遠く憧れ、人間を真似るのも大好きである。」

「有頂天家族 二代目の帰朝」読了

もう五年前くらいに読んだ「有頂天家族」の続編となる「有頂天家族 二代目の帰朝」を読み終えた。

つい先月、この物語の舞台であるところの、矢三郎が走り、赤玉先生と二代目や弁天が天狗的抗争を繰り広げ、その他大勢の狸たちがうごうごと動きまわってたあたりをウロウロとしていたから、ここで語られる阿呆な出来事がよけいに身近に感じられてより楽しめたのだと思う。

なので、とても面白かった。

アマゾンの評価で星5つです!

オシマイ。

でもいいんだが、もう少し感想を書いてみたりする。

ただし前作の「有頂天家族」の内容についてはいかんせん五年も前に読んだもので、細かいところはほとんど忘れているので、イイカゲンな感想になる可能性が低くないことはご了解願いたい。

 

有頂天家族 二代目の帰朝

有頂天家族 二代目の帰朝

 

 今回、Kindle版を購入したんだが、文庫版はまだ出ていないのでハードカバーの紙版と比べると1000円近く安い。通常百円程度の差しかない両者だが、これくらいの価格差が付けばもっと新刊を買ってしまいそうな勢いではあるな。新刊でも電子版は文庫並みの価格にする、という英断を出版各社に対して希望する。

森見作品に慣れていないと混乱するぞ

今回の物語は、主人公である下鴨矢三郎をめぐる家族の物語であり、作者の森見登美彦氏にしてはマジメな内容だと思われた。他の作品ではもっと訳がわからん奇想天外な話であったり、どう見てもヘンテコな登場人物らが暴れるものが多い気がするんだが、この作品はそれらとは異なり登場人物らの関係性や、それを守るための奮闘ぶりが描かれるを読むにつけ、目から汗が出てくるような内容であった。

ただし、登場する者達は狸と天狗であるから(一部人間も参加しているが)、マジメなのか不真面目なのかよくわからんわけで、しかしながらそういった特殊な立場の者共が暴れまわるものだから、多少ウソが混じったり奇想天外過ぎたりしていても説得力があり、それらの騒動を読んでも違和感なく物語に引きこまれてしまう。

登場人物らがみな魅力的であることよ

主人公の下鴨家三男 矢三郎をはじめ下鴨家の面々(狸一家、ただし次男は途中まで蛙)、敵対する夷川家の人々(もちろん、こちらも狸)や洛中でうごうごする狸たちに、常に大イバリの赤玉先生やクールな二代目、騒がしい鞍馬天狗ら天狗一門と半人間半天狗でダレからも一目を置かれている弁天、その他にも人間代表として怪人 寿老人が率いる金曜倶楽部のメンバーなど、皆一癖も二癖もある魅力的なキャラクターであり、それらが右往左往しているさまを読むだけでも楽しめる。

これら魅力的な物語の中心的位置を占めるはおもに男性陣であるが、登場する女性陣はそれに負けず劣らず魅力的である。

矢一郎と結婚する南禅寺玉蘭、矢三郎の許嫁の夷川海星、かつての偽右衛門 下鴨総一朗に嫁ぎ下鴨四兄弟の母親である狸谷桃仙など、これら古めかしい名前を持つ女性陣はみな個性的で魅力的であり、狸ながら思わず惚れてしまいそうなんだが、それにもましてすばらしいのは赤玉先生のお気に入りの弁天であるわけで、彼女のわがままぶりや時折見せる弱さなど、男子ならば速攻でココロを奪われるに違いない。(元は琵琶湖湖畔をぽてぽてと歩いていた普通の少女であった弁天も、いまでは見るものを凍りつかせるような佇まいの絶世の美女であるのだから、それも当たり前か)

本作は三部作の二作目であるとのことで、今回の騒動を経て、今後どういった展開になるのか楽しみでなりませんな。

ファンタジーとして読むべきなんだろうが

主人公の狸らが人間に化けて大暴れするという物語だから、これはいわゆるファンタジー小説というべきものであろうが、そういった物語の分類定義などは瑣末なことであり、物語は下鴨家を中心とした家族を描いた人間ドラマというべきである。(狸だけどな)

ラストシーンのイメージは、なんだが村上春樹的な(「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」的なというべき)印象でもあるが(あわせて羊男モノも思い出した)、傷心の弁天が次回でどのような復活劇を見せるか、本性を露わにした二代目が今後どのような活躍を見せるのか、など期待が大きい。

そんなわけで、引き続き本棚から引っ張り出してきた一作目の「有頂天家族」を読むことにしましょう。

 

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

有頂天家族 (幻冬舎文庫)

 

 数年前に宮島でタヌキを見かけたんだが、うちの近所もかつてはタヌキがうろついていた。

宮島 Miyajimaflic.kr 宮島で見かけた狸

今は見かけないがまだ住んでいるとするならば、旅の途中の呉一郎や矢二郎がその一家に少しばかり世話になっていたかもしれぬ、などと思いを巡らすのも悪く無い。もう少し暖かくなり、もしどこかでカエルを見かけたら、それは矢二郎だと思うことにするよ。けろけろ。