うさぎ島はうさぎより観光客の方が多かったんではないのかな
大久野島へ行ってみた
第二次世界大戦当時には、この島で密かに毒ガスが製造されており、地図から消されていた島(毒ガス資料館で旧い地図が展示されていたがあまりに大雑把な消しかただったので「もっと工夫しろや大日本帝国陸軍は。あれじゃ秘密があると宣伝しているようなもんじゃ」と思ったわ)であるところの大久野島は、いまでは勝手に繁殖したうさぎが飛び回り、「うさぎ島」として有名らしい。そんなに遠くないし、いっちょ行ってみるかとでかけたわけですね。
ヒト大杉
大久野島はその名の通り島なので、船で渡らねばならない。で、島へ渡るフェリーが発着するのがJR呉線 忠海駅のすぐ裏の海側にある忠海港。出発前は「まあイナカの島だし、オレら以外十数人がのんびりとフェリーにのって、島に渡ればあふれんばかりのウサギの集団に囲まれて、ヤツラはオレらが持ち込んだキャベツに群がる」というイメージを膨らましていたのが大間違い。到着するとまず駐車場がない。第一、第二、臨時駐車場も一杯で、係のおっちゃんがジャムで有名なアヲハタの事務所の駐車場が開放したので、オレらはそこへ車を入れる。
flic.kr 本当は関係者以外駐車お断り。
で、そこからほんの少し歩いて忠海港についたら、切符売場に長蛇の列。その向こうにはフェリーに乗るために長蛇の列。
フェリーと小さめの客船は30分に一本程度。時間帯によると一時間に一本。客船の方はフル回転のピストン輸送っぽく運行されていたけど、いかんせん30人位しか乗れそうもなく、長蛇の列はなかなか進まない。
flic.kr フェリー桟橋ははるか先。
flic.kr 長蛇の列
flic.kr 子どもは飽きて海を眺める
flic.kr 切符売り場の看板にもウサギ。Rabbit Islandである。
flic.kr ゴミ箱には洒落たことが書いてある。けっして「ウサギを捨てるな」という意味ではない。実際問題としては、飼いきれなくなったペットのウサギを島に捨てに来る人がいるらしい。そんなことはやめましょうね。
flic.kr ウサギの餌は島では売ってないので、ここで買うか自分で持ってゆかなければならない。ちなみにJR忠海駅近所のコンビニでは、キャベツを丸ごと売ってるらしい。また、キャベツを何玉も持って行こうとしているヒトを何人も見かけた。そりゃ、やりすぎでっせw
そして、上陸
で、ケッキョク一時間位まってやっとフェリーに乗り込む。約15分位で島に到着。
島に到着すると、桟橋をおりてすぐにうさぎたちが飛び跳ねているんだが、とりあえず国民休暇村の宿舎方面に無料バスに乗って行ってみた。距離的には歩いて行けるくらい。
で、現地に到着すると、もうそこら辺をウサギが飛んだり跳ねたり座ったり寝転んだりしているのがわかる。それらのウサギに沢山の観光客がめいめいが持ち込んだキャベツやら人参やらうさぎ用のエサやらを与えている。そして写真を撮りまくっている。
デカイ白レンズを抱えていたり、三脚持ってたりするヒトもちらほら見かけたね。
flic.kr そこら中に座っているウサギたち。探す必要などなし。
うさぎたちは人間を恐れない。自分から寄ってきてエサをねだるやつもいる。ただし、アレだけ沢山の観光客がエサを与えているので、寄ってくるくせに食べないやつも沢山いる。新鮮じゃなきゃ嫌なのか?食べ過ぎなのか?
それから観光客が与えたエサの食べ残しが、そこここに落ちている。エサは島では売ってないけど、そこら辺に落ちているので持ってかなくても大丈夫かもしれんね。
エサの他には、道の辺りや公園の所々にうさぎ用水飲み場っぽい洗面器的なのもがおいてあって、水が入れられていたのも見かけた。
それから、歩いているとそこら中にウサギのフンが転がっているので、嫌な人は注意が必要。砂や石つぶと区別がつかなかったりするし、ニオイもないので気にならないかもね。
むかしここには毒ガス工場や砲台があった
Wikipediaによると
大久野島には、明治30年代に日露戦争開戦に備え、芸予要塞の一角として砲台などが設置された。その後砲台は撤去されたが、陸軍は、第一次世界大戦時に、地理的な条件や秘匿の容易さなどから、大久野島を化学兵器の生産拠点に選び出した。
らしい。なので、この島には打ち捨てられた砲台跡や毒ガスの研究所跡(だったと思う)が残されている。また、毒ガス資料館が置かれ、当時の品物が展示されていた。
flic.kr 毒ガス資料館 展示は向かって左側。右側は研修ホール。で、資料館の18歳以上は入場料が100円。それ未満は50円。安すぎ
flic.kr かつての研究所あと(らしい)
flic.kr これも研究所跡らしいが、ちょっと新し目な印象
島内に点在する砲台跡は、打ち捨てられた古代文明の遺跡にも見える。
ここを見て「天空の城ラピュタ」を思い出したのは、オレだけではあるまい。
flic.kr 古代マヤとかアステカ文明などの南アメリカっぽいデザインの砲台跡。
石とコンクリートでガチガチに固められた砲台は、壊すとなると大変な労力がかかるんんだろうな。戦後70年経つけど、いま見てもしっかりとして丈夫に見える。
レンガ造りの構造物は、兵隊らの宿舎か?または砲弾を格納していたところか?
Wikipediaではこの場所の写真に「毒ガス兵器工場」という説明があったが、この場所は砲台跡の直ぐ側だから、毒ガス工場とは考えづらいんじゃないか。砲台の近くならば、砲弾の一時保管場所か、砲兵らの一時詰め所かもとおもうんだが。
いずれにせよレンガ塀に蔦が絡まり、中からロボット兵が出てきそうな雰囲気。
flic.kr 蔓が生え、枯れ葉に埋まる石段は、まさに古代遺跡の雰囲気満載
flic.kr 地面を掘り下げて通路を作り、その壁面にレンガや石、コンクリートで築かれた砲台。両側が高い土塁のような構造で、デカイ塹壕と言った趣。実際の大砲が設置されたと思える跡は、右奥の道を進んだところにある。
flic.kr ここは火薬庫跡。空襲で屋根はすべて焼け落ちたらしい。
flic.kr トンネルの向こうは廃墟。こちらは現実。フェリー乗り場のすぐ近く。
打ち捨てられた巨大な建物は発電所跡。これだけ大きな建物で作られる電力が必要だったのだから、この島にあった軍の施設が巨大だったことが推測される。
今は平和なうさぎ島だけど、こういった遺物が当時のこの島の様子を今に伝えている。
flic.kr でも、やっぱりウサギはカワイイよ。
島には海水浴場もあって、水は綺麗だし夏に来るのがいいかもしれん。でも、暑すぎるとウサギは出てこないらしいので、春がやっぱり一番かな?
flic.kr 展望台から瀬戸内海国立公園を望む。暖かい日差しに海がキラキラと光る。途中、桜もチラホラと咲いていた。春はもうすぐ。
flic.kr このピンクのジャンパーも、自治体の観光課だかなんだかの頭ハゲ散らかしたようなエライ人たちが真面目なかをしている会議で、「まあ、これでいいんじゃないでしょうか(おれが着るのはちょっと恥ずかしいけど、そうじゃなきゃいいかな)」などという雰囲気で決められたにちがいないな。その後、いっぱいハンコが押されたの厳しい文面の書類が色んな所をグルグル回って一丁上がり。
フェリー乗り場の乗客誘導のおっさんが来てるジャンパーの背中には「兎人」とかいて「うさんちゅ」と読ませるらしい。どうやったらそう読める?かなり強引な持って行きようだが、いい年したおっちゃんがピンク色のジャンパーを着て奮闘しているので、まあいいか。
そんなおっちゃんの背中見てオレは「銀魂」を思い出したぞ。「夜兎族(やとぞく)」と「天人(あまんと)」が合体して「兎人」になった感じ。神楽が着れば似合うかもね。
まあ、そんなことはどうでもいいんだが、想像以上の人出で、もう少しなんとかならんかと思ったりしたね。おそらく平日は閑散としてそうなので、これもまた仕方がないか。フェリーも宮島の観光用とはちがい、地元の人の足っぽいから簡単に増便もできんだろうな。
flic.kr まあ、イライラせんとゆっくりしていきんさい。わしらモフモフしたのがいっぱい待っとるよ。