極私的視点(再)

思いついた時に、思いつきの文章とそれっぽい写真を大公開です。

映画「第三の男」(ネタバレって、公開からどれくらい経てばネタバレでも良くなるのか?コレってすでにパブリックドメインだぞ)

初めて観ました

小学生高学年から中学生にかけて、当時はほぼ毎日あった「なんとかロードショー」とか「なんとか名画劇場」でテレビ放映される映画はほぼ全て見てたから、古い映画の名作も、B級C級の映画もそれなりに観てた。が、オーソン・ウェルズの映画は観たことがなかったので、今回初見の「第三の男」です。スカパーの特典で契約していないチャンネルを一ヶ月間タダで見られるというので、「スター・チャンネル」を選んだらオーソン・ウェルズ特集として放映されてたのですかさず録画して観たわけです。もう一作「市民ケーン」も録画しているので、また後ほど観ましょうね。

 

 

▼こちらは有名なテーマ曲。ヱビスビールが飲みたくなります。


The Third Man / 第三の男

 

で、どうだったのか(ネタバレ)

見終わって面白かったかどうかと聞かれれば「面白かった」と答える。

ストーリーの基本は死んだ男をめぐるミステリーで、その男の友人が死の真相を探るためにいろいろな人にあって話を聞くという王道のミステリー仕立てなんだが、探偵小説などを沢山読んでいる人ならば「死体入れ替えトリック」だと気づくのは容易だろうね。死んだ男を運んでいたのは、目撃者が警察に証言した二人ではなく「第三の男」がいるという事で、この映画のタイトルは「第三の男(The 3rd Man)」。でその死んだ男(ハリー)をオーソン・ウェルズが演じているんだけど、彼は物語が始まる直前で死んでる設定だから前半全く姿を見せない。それは当たり前なんだけど、ならばそんな役をオーソン・ウェルズがやる必要が無いわけで、コレを持ってネタに気づく人もたくさんいるだろうし。オレは「事件真相を解明するための過去へ遡っての物語になるのかな?」と思ってたけど、全然いまの話なので「ならば死体入れ替えしかないじゃん。ハリーは生きてるに決まってる」という結論に達したのでした。

まあそういうわけで謎解きという点では初歩的であり、この映画はそれがミソではないわけで、ストーリーというよりも欧州戦線終結後の破壊されたウイーンの風景や、白黒映画独特のコントラストが強い光と影の表現とか、それらの映像要素が素晴らしく1949年製作というものすごく古い映画にもかかわらず飽きずに陳腐な印象も受けずに観られた作品でした。この点について様々な人が褒めているけれど、それに対しては全く同意でありますね。

 良かった所

ヒロインが美しいこと。

アリダ・ヴァリという女優さんだそうです。往年のハリウッド美人ですな。

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オーソン・ウェルズ初登場シーンで、アパートの明かりで暗闇に潜むハリーの顔が浮かび上がるシーンが素晴らしい。オーソン・ウェルズのちょっと困ったようなキザな表情もかっこ良い。

▼ベビーフェースで決して二枚目ではないけれど、この表情がカッコいい。白黒映像のコントラストも素晴らしい。

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夜のウィーン、地下下水道のシーンなど、白黒で描かれる暗いシーンは美しい。

国際警察の少佐が来ていたダッフルコートがカッコいいこと。

▼このダボッとして無骨なデザインのダッフルコートがカッコいい。色はベージュかグレーな?

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登場人物が話す英語とドイツ語とロシア語(?)が渾然一体となって、当時の混乱した情勢がよく伝わってきている(と感じた)こと。

言わずと知れたラストシーン。このシーンは映画を通してみて、その意味と画面上のヒトたちの気持ちがよく分かる。みなさんが褒めるのもよく分かる。

▼有名なラストシーン

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 良くないと思った所

ハリーに感情移入出来ない。彼の行動の動機が不明。

なぜハリーは主人公の作家をウィーンに呼び寄せたのかが不明。

ヒロインのハリーに寄せる気持ちがいまひとつ分からない。

アパートの管理人が殺される直前の表情を写しているシーンが長すぎる。

シリアスなシーンでもBGMとして使われるテーマ曲が脳天気過ぎる。

最後に

オーソン・ウェルズの有名な台詞「イタリアの圧政がルネッサンスを生んだが、スイスの平和が生んだのは鳩時計だけだ」という台詞が聞けてよかった。

採点評価は7点(10点満点)

注)ブログ中の映像はインターネットから拾ってきたものです。すでに作品自体がパブリックドメインになっているので大丈夫かな?