三連休だけど寒いから家で映画ばかり見てた
今回は写真の話題はほとんどありません。
Amazon プライム会員なので、映画が(ある程度)見放題なので、気になった映画がプライム会員特典になっているのを見つけると暇を見つけてみたりする。
で、この三連休は4本の映画を見たのですね。
「お前はこんな映画もこれまで見たことなかったんか?」などと言われるだろうけれど、まあ見てないもんな見てないので、これを機会にひとしきり。
ネタバレ全開なので、見てない人は読まないこと。
一本目「エスター」
前から気になっていたんだけど、もうすぐ見放題が終わるらしいので、あわててみた。
非常に嫌な味わいの映画で、特にエスターが「私はママのことを大事に思っている」アピールをパパにしつつ、ママが大事にしていたバラの花をすべて切り取り花束にするシーンは、もう心底エスターが嫌いになりました。(バラの花は、主人公の主婦が死産した子供のことを思い、自分の庭に遺灰を撒いた場所で大切に育てていたもの。「このバラをあの子だと思っている」的なセリフもあった)
「お前わかってやっているだろう?!」ってわかってやっているんだけど、あんないやらしいことをやってのけることで、エスターの人としての愛情を感じない底意地の悪さというか狂気というか精神異常性がはっきり示されていたと思いますね。
で、そんな極悪非道なことを繰り返すエスターは、実は体の異常により少女のまま発達が止まってしまった女性で、かつこれまで7人殺してきた精神異常の殺人鬼という事が判明。彼女の行動原理はよくわからない部分もあるんだが、どうも主人公の女性の夫を寝取ろうとしたらしいが、そこら辺が今ひとつ腑に落ちない感じでした。
もう一つ気になったのは、彼女は東ヨーロッパの精神病院に収監されていたものの、脱走して行方不明になり、アメリカに渡ったという設定なんだが、どうやって偽の身分を得たのか、具体的に言えばパスポート他の書類をどうやって準備したのかがよくわからんのですね。見た目は少女なので、そっちがスキな関係者をいろいろと誘惑したのかもしれんけれど。歯科医に行くのを頑なに拒んでいた理由も、年相応の歯がバレるからという理由は納得するも、それを隠す入れ歯(差し歯?)をどうやって作ったのかもよくわからん。
オープニングは主人公女性が三番目の子供の死産した記憶が蘇る悪夢のシーンから始まるので、夢オチかと思ったら違っておりましたが、まあラストに向けての主人公女性とエスターの肉体的直接対決など、ホラー的なテイストでなかなか面白かったと思います。
二本め「シャッターアイランド」
「エスター」同様に、ラストで物語の謎が解ける、というか観客が思い描いていた映画の設定が根底から崩れるというのが面白いところ。序盤から「主人公(デカプリオ)は水が苦手」という伏線が張ってあったりして、映画を見ている途中では意識しないものの、ネタバレサイトを見たりすると「なーる」と納得する脚本でした。
シーン自体が幻想というかデカプリオの意識を具現化したモノもあって、それが最後に明かされるデカプリオの妄想シーンとマゼマゼで「騙された」というよりも、「それじゃわからんわ」というのが印象ですが、これまたネタバレサイトによれば「水」が出てくるシーンは現実で、「火」が出てくるシーンは妄想であるという区別を意識することで、そこらあたりは意図した描きわけだということがわかりますので、決して作る側がテキトーに観客を騙したり混乱させるために映画いていたわけじゃないのですね。
自身の記憶が信用できないというのは非常な恐怖で、この映画も「エスター」同様に「最後は夢オチ?」と思っていたものの、そうではなく謎を残しながらも一応きちんとした結末を迎えるわけですね。でももしかするとデカプリオ以外がみんなグルの嘘つきだったとも言えるのではないか、とネタバレサイトを読み終わっても少し疑っております。
三本目は「メメント」
こいつは前に見始めてたものの、時間軸が変な構成なのでめんどくさくなって投げ出していた。それを今回改めて見てみると、なかなか面白かったです。
ラストシーンから始まって、そこにつながる直前のシークエンスが描かれ、そのラストがその前で描かれたシーンの最初につながるの繰り返し。その構成は改めて流れで見ると「あのシーンのあれは、こういったことで起こったのか」という謎解きの面白さを感じましたね。でそれらのシーンの間にモノクロで主人公が電話で誰かと話すシーンが挿入されるんだが、途切れ途切れの会話で意味がはっきりわからない。そんな構成で映画は進んでゆく中、ラスト近くでモノクロがカラーに変わるシーンがある。これですべてのピースが揃って、なぜ主人公がこれまで描かれたような行動をとったのかの経緯がはっきりと分かる。経緯はわかるが動機はよくわからんかった。主人公はすでに妻を襲った犯人をすでに殺害しているんだが、そこでなぜ満足しなかったのか。記憶が10分しか持たないため、体中に忘れてはいけない内容を入れ墨として刻み込んでいるわけで、その内容は信じているのならば、「オレは犯人を殺した」と書いとけば良いじゃんと思うわけ。最後の最後、死んだ妻と一緒のシーンで、彼の胸に「I've done it」と入れ墨を入れているのが映るんだが、あれは「そうすればよかった」という彼の深層心理を表現しているのか。
まあ今ひとつよくわからん映画なんだが、物語のラストから順に時系列的に戻っていくという構成は「倒叙もの」といえば言えなくもないが、ちょっと不思議で奇妙な味わいのある内容で面白かったね。
で、ラストは「ファイトクラブ」
こいつも「シャッターアイランド」と同じく「二重人格もの」と言えるし、これまたネタバレサイトを見ると、そこらあたりを映像的にもうまく表現しているようです。
こいつもラストシーンから始まるんだが、「なぜビルを爆破?」という理由が映画を見ているだけではよくわからんかったですね。
で、映画自体はブラットピットのかっこよさよりも、彼を(実はそうじゃないんだが)慕って集まって、軍団化する人たちの行動の怖さがポイントではないか。ただ殴り合っているだけの集団を立ち上げただけなのに、絶対服従をする奴らの行動原理は何なんだろう。社会への不満とかなんとかいろいろあるんだろうけど、そこらあたりはいまいち共感も理解もできなかったのですね。
で、ラストは自分の分身である男を葬る去るために、銃口を口に入れて引き金を引く主人公。それによって分身は後頭部をふっとばされて消えるが、当の本人は死なない。よく見ると主人公は頭じゃなくて、左の頬か顎辺りに穴が空いただけっぽく、それで死ななかったようだが、ここらあたりも映像としてはわかるけれど、意味をうまく汲み取れなかった。
まあそんな映画で面白かったんだが「驚愕のラスト」とか「大どんでん返し」的な驚きはなかったね。
そんなわけで4本の映画を見たんだが、見てて一番心を動かされたのは「エスター」でした。あんな女の子がいたらオレはもうダメだ。全力で逃げ出す。そんな少女に脅された主人公の小さい娘はひどいトラウマを抱えることになるだろう。誠に可愛そうなことだと思い、心配で仕方がない。
最後に
太陽がでてれば寒いのは平気なんだが、ショボショボ雨が降る天候で外に出る元気はあまりない。暖かくなるのはもう少し先だろうけど、せめて週末は天気が良くなりますように。自宅の近くの坂道に植えられた河津桜は花をつけているし、梅もぼちぼち咲き始めている。早く暖かくなって桜が綺麗に咲きますように、という願いを込めて昨年の桜の写真を載せましょう。
桜の花の満開の下を歩くラブラブカップル。季節も春、人生も春。
ちなみにおねえさんが首から下げているカメラは、ライカのゾフォート。
あざといという気もするが、一周回って逆にシブい。