極私的視点(再)

思いついた時に、思いつきの文章とそれっぽい写真を大公開です。

ドラマ「トリック」を観てます

ドラマを観ないオレでも面白いと思うわけで

根強いファンが多いドラマ「トリック」なんだが、いまアマゾンプライムビデオで全シリーズと映画版、特別編などすべての配信が行われているわけで、Twitterだかなんだかで、熱心なファンの人が「ぜひ見ろ」と投稿してたから観てみました。そしたらすんごく面白かった。

いまちょうど第二シーズンを観終わったばかりで、まだまだ観てないのがたくさんあるんだが、とりあえずココらへんで少し感想をかいてみようかなー、と思うぞーん。 (佐野史郎風に)

トリック 2 超完全版 [DVD]

トリック 2 超完全版 [DVD]

 

作品についての詳しい解説はwikipediaに任せておくし、いろんな細かいネタについても熱心なファンの方々に任せておく。ここで書くのは極私的な感想であって、評論でも分析でもないので、そこんとこヨロシク頼むけぇの。(石原風に読んでくれぇや、のうアニイ)

「トリック」

テーマ自体はインチキ霊媒師だの超能力者だのを、マジックのネタをキーワードにして化けの皮を剥がしてゆくってことなんだが、毎回「不思議な力を持つ人は、本当にいる」とか「(インチキ超能力者の正体を暴き続けた山田の)父親は本当に力を持った超能力者に殺された」などという謎がシリーズ全体に暗い雰囲気でのしかかっている。

主人公二人の軽妙なやり取りやツンデレ感、警察コンビのコント感を始め、広角レンズに映し出された画面の隅ずみで繰り広げられる細かいネタはすごく面白かった。観ながら、これはどこかで観たことあるよな、なんて思いよく考えてみると、これは「踊る大捜査線」をもっとコント風にした味付けなことに気づいた。観ている人たちは、そういった製作者側が仕込んだネタを見つけて喜ぶわけで、カルト的な作品として人気がでるのもわかる作りでありました。

ストーリーは、毎回登場する敵方が見せる不思議現象を、主人公山田がマジックのネタで再現してインチキを追求するも、だからといってそれが敵方がインチキをやっているという決定的な証拠にはならない、というもどかしさが何度か繰り返された後、主人公コンビの活躍により決定的な証拠を突きつけられて、物語中に発生した殺人事件の謎も解明されめでたしめでたしとうのが大まかな筋。ただし、敵方の親分が最後に残す謎めいた言葉が、主人公山田の心をかき乱しつつ次のエピソードへ続くわけで、そんなすっきりしないままシリーズが続いてゆくところが見ている間はちょっと気になるものの、次々に起こる不思議現象に対して「さてその真相は?」とどんどん興味が次へ続きてゆくという、うまい作りになっているなー、というシリーズでした。

最終回のオチはちょっと不満も残るけれど、敵方が逮捕されたあとに残された騙されていた人たちは、事件の真相がはっきりしたことにより本当に救われたのか、騙されていたときのほうが幸せだったんじゃないか、という問題提起はなかなかに重い物だと思い、その辺りがこのドラマを作った人たちが本当に言いたかったことじゃないかと勝手に解釈したりして観終わったのですね。

 

「トリック2」

「インチキ超能力の謎は解けたけど…」という微妙な気持ちが残る第一シーズンと異なり、第二シーズンはミステリードラマばりの推理モノといった雰囲気でした。

毎回”どんと来い!”上田教授のところへ持ち込まれる不思議現象に対して、山田がマジックのネタで再現して論破しようとして、何度も逆襲されるというパターンは同じなんだが、最後に明かされる真相がかなり推理小説なトリックが用いられていて、矢部警部補が事件の真相を語る山田に対して「おまえは金田一少年か?」というのもよく分かる。なので、個人的には第一シーズンよりも第二シーズンのほうが面白いと思いますたね。特にエピソード2のラストの主人公と敵方のチキンレースのあと、犯人が死ぬまでの展開はミステリーというかスリラーものとしてつくりが上手いと思うし、続くエピソード3の視聴者に犯人を二転三転と誤認させたうえで、もう一捻りした犯人の動機や仕掛けられたトリックなどすべての真相が判明する快感は、謎解き推理モノとしても良く出来ていると思います。

そんな上質な謎を展開しているにもかかわらず、登場人物の演技は1980年代のとんねるずがやってた「みなさんのおかげです」でのパロディドラマを思い出させるし、本筋とは関係ない細かい笑いのネタを打ち込んでくるしで、そういった散りばめられたネタを探して面白がるのが、やっぱりこのドラマの見方なんでしょうね。Wikipediaを観ると、シリーズ全体は寒い季節が舞台なのに、撮影時期が夏だったことから「ここらあたりは何故か暑いな。フェーン現象なんだろう」とか強引にごまかしているイイカゲンさも喜んで観るべき点ですね、たぶん。

そんなドラマを観ているうちにフジテレビの「カノッサの屈辱」を思い出したり(特に第一シリーズの毎回のエピソードの最初に出てくる過去の不思議現象の解説部分とか、全体に漂うネタ晴らしに関する解説口調な雰囲気とか)、(ネタ元とは味付けが違うけど)警察コンビのキャラクターや次回予告の雰囲気などは、松田優作主演のTVシリーズ探偵物語」風だったりと(あのドラマもシリアスな内容と、ギャグ満載のシーンが混在してた)、制作側と同年代の人間にとっては、特にいろいろと面白がれる作品であることは間違いなしであります。

最近の妙にシリアスだったり、パターンが決まった展開で出演者人気に頼ったドラマに不満をお持ちであれば、ぜひ観て損はありません。2000年代前半の作品ということもあって、すでに亡くなっている方や、今は売れているけど当時は全く無名だった人(佐藤二朗が出ていて、今と全く同じ芸風だった)も出ているので、放映当時ではなく今だからこそ楽しめる部分もありますよ。メンズノンノだかのイケメンモデルでしかなかった阿部寛が「あの容姿でふざけるとすごく面白い」と人気が高まり、のちの「テルマエロマエ」などでの怪演の基本もこの作品にあるだろうし、後にNHK大河ドラマのメインになるとは全く予想できないような小娘感満載の、まだそれほど売れてなかった仲間由紀恵の可愛らしさも必見。(オレにとっての仲間由紀恵は、「ガメラ3」の中でキャンプで仲間と別れて彼氏といちゃついている最中に、イリスに体液を吸われる「若い女性1」なのは、まあ置いといて)ドラマの中(特に第一シリーズ)では「貧乳」と揶揄されているけれど、決してそんなことはないと思うぞ。

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