極私的視点(再)

思いついた時に、思いつきの文章とそれっぽい写真を大公開です。

スウィート・ホーム

伊丹十三というひと

伊丹十三という人がいる。お父さんは伊丹万作という映画監督らしい。で、自身も映画を何本も撮ってる。オレはそのうちの妻宮本信子を主演にした何本かを劇場で観てる。ちょっと変わった作風だがとても面白いと思った。森田芳光監督の「家族ゲーム」でお父さんを演じてた俳優でもあった。オレが知っている伊丹十三というのはそういう人だった。

森田芳光監督「家族ゲーム

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伊丹十三監督「お葬式」

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 伊丹十三監督「タンポポ

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さてその伊丹十三松山市生まれということで、この地に記念館が建てられている。地元にあるのに行かぬてはないと思い、自転車を漕いで行ってきた。うちから自転車で30分もかからない。電車やバスで行くよりも早く着く(はず)。だからすぐ行くべき。

 

伊丹十三記念館

カンカン照りのなか汗だくになって到着。入り口に入り右手カウンターで入場料800円を支払うと貴重品以外の荷物は預けなければならない。預かり札をもらい見学に関する説明を受ける。とても丁寧で親切。で、いよいよ展示場へ。

展示場は常設展示室内に限りフラッシュや三脚を利用せず、他の観客の邪魔にならなければ写真撮影オーケーとのことなので、さっき預けたリュックからカメラを取り出させてもらう。

才人 伊丹十三

先にも書いたとおりオレは監督と俳優としての伊丹十三しか知らなかったが、展示室では商業デザイナーや作家、イラストレーターとしての実績の数々が展示されていた。そのほかに小学生時代の観察日記や絵なども展示されていた。子供の頃から絵が非常に上手い。商業デザイナーやイラストレーターとしての仕事も素晴らしかった。こんな多才な人とは知らなかった。記念館で作家としての長い文章は読めないが、展示物の説明書きにされていたエッセイの一節を読むだけでもなかなか面白い。世間をちょっと斜に構えた視線で切り取り、自分の価値観と現在の状況を比較して批判するその姿勢や文章の雰囲気にはとても共感できたし、文調は若い頃の村上春樹的な印象を受けた。地元の著名人ということで近所にある古本屋でもたくさん在庫があるに違いない。今度探して読んでみよう。

コメント)このページの写真はすべて「伊丹十三記念館」で撮影したものです。

常設展示室は展示コーナーが一から十三までに分かれている。

右が小学一年生、左が小学六年生のときに書いた絵。小学生にしては巧すぎる。

イラストレーターとしての仕事。

CM撮影に向けたメモ

猫好きで飼ってた猫をたくさん描いている。

ラーメンウェスタン映画「タンポポ」の自筆絵コンテ。

タンポポ」の脚本

愛用の筆記用具。オレが使っているのと同じファーバーカステルの消しゴムを使っていて、ちょっと嬉しかった。鉛筆は2Bで三菱鉛筆・ユニ派らしい。おれも2B愛用だがトンボ・モノ派。

入り口

全外観

上の写真の左側、8という番号が記された建物内に鎮座しているのが伊丹氏の愛車ベントレー

建物の壁に掲げられている文章は、展示されているベントレーについてではなくロータス・エランについて。「ちょっと汚れてたほうがカッコいい」という価値観は素敵。展示されている文章にも「四畳半一間の風呂なしアパートに住んでベンツに乗るのはヘンだよね」とか「銭湯に車で乗り付けるくらいなら、風呂付きアパートへ住めば」とか日本人の価値観に対する辛辣な批判には大いに共感するぞ。

小さめの建物なんだが、夏の日差しが差し込む中庭と、そこにある一本の木がなかなかいい感じでありました。全体の余裕があってとても良い建物でした。

奥のコーヒーショップにも伊丹十三と父万作の直筆の絵が展示されている。

そんな素敵な伊丹十三記念館なんだが、オレが好きな「スウィート・ホーム」に関する展示は一切なかった。権利関係で揉めてて映像媒体化されていないのは知っていたが、ここまできっぱりと展示されていないとは思わなかった。(まあ当たり前か)

それに対するイヤミではないけれど、入り口でアンケートを求められて「好きな伊丹作品(映画に限らず)は?」という設問には「スイートホーム」(正しく”スウィート・ホーム”と書かなかったのは残念至極)と書いたのは、結果的に無意識だったけど抗議活動になってしまったかもね。

 

伊丹十三 (Wikipedia)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E4%B8%B9%E5%8D%81%E4%B8%89

 伊丹十三記念館

http://itami-kinenkan.jp/