極私的視点(再)

思いついた時に、思いつきの文章とそれっぽい写真を大公開です。

「写真が趣味です」という人

「写真」なのか「カメラ」なのか

人に「趣味は何ですか?」と聞かれるととりあえず「本を読むことです。特にミステリー。横溝正史はほとんど読みました」と答える準備をしているんだが、いつも難しい顔をしているのでそんなことを聞いてくる人はいない。

で、もし聞かれてたとしても答えないけど、趣味(というほどではないものの好きなもの)としては映画を見たり、それについて不満を漏らしたり時々褒めたり、アメフトをスタンドで見たりする他に写真を撮るのも好きです。

世の中「写真が趣味です」という人はたくさんいるけれど、そんな人は大まかに2つに分けられるんじゃないかと思うのですね。一つが「写真を撮ることが好きな人」でもう一つが「カメラやレンズという機械が好きな人」。

写真を撮ることが好きな人は、目の前にあるものや風景がなんか面白いと思ったらとりあえずシャッターを押してみる人で、カメラやレンズが好きな人はまずカメラの性能やレンズのスペックを読んで色々と考えを巡らす人ですが、そんな人の多くは機械が汚れるのが(?)もったいなくてあまり写真は撮りません(という印象であります)。

オレは前者で写真を撮ることが好きなので、とりあえず道端に落ちているゴミでも「おっ、これはかっこいい」と思えば写真を撮ります。構図がどうだとか光線の当たり具合がとか、絞りがとかシャッタースピードがとかISOとかなんとかはあまり気にしてませんね。とりあえず最初に設定しておいたそのままで撮る。昼間だったら絞り優先のf/8くらい。それで暗かったりもっとバックをボカシたかったりすればちょこっとだけ設定を変えるくらいですね。できればピントも被写界深度をそれなりに深くして、想定した距離まで近づいたらカメラをさっと取り出してサッと撮る感じでゆきたいのですよ。AFで変なところにピントが合うくらいなら、MFにしてフォーカスリングはガムテープで固定しててもいい。(でもそこまでやる腕やセンスが足りないのでAFは中央一点のみで日の丸構図全然オーケー)ピントとブレ以外の細かい設定はあとからLightroomでなんとかすると思ってるからで、撮って出し一発勝負こそ至高と思っている風景写真を撮ってる人達からすればタダのシロウトの馬鹿野郎です。でもそれでいいんです。知識も腕も不足しているので、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる式がぴったりなのです。

f:id:tonytani37:20200712202429j:plain

ロマンチックが 'フー' 止まらない

まあそんなことは置いといて、写真を撮るって行為はどんなものかといえば、それは

「ありふれた場所で何かおもしろいものを発見することだ。自分が『何を』見ているかというのはあまり関係ない。それを『どのように』見ているかを表現することが大切なのだ」

ですね。で、これは私が考えた言葉じゃなくてエリオット・アーウィットという有名なカメラマンの人の言葉です。写真とはまさにそのとおりで、普段歩いている道も季節や時間帯や何やらカニやらで突然かっこよく見えたりする時があるのですね。そのときに写真を撮る。周りを歩いている人も同じ風景が見えているはずだけど、オレはその同じ風景を「どのように見たか」というのを写真に撮っているのですよ。もっともオレが見ている風景をそのイメージ通りに撮れたことは多くなくて、大体がうちに帰って見直すと「オレは何を撮ろうとしたんだろうか?」というような写真を量産しがち。

そんな自分が見てる世界は絵を書く人はカメラを使わずもっと大胆に自由に表現してるわけですね。自由にやりすぎて理解できないものもありますが、あれは書いた人にとっては見えてる(あるいは見たい)景色なんですね。カメラやレンズの性能でその表現が制限されがちな写真よりも、自分のイメージ通りに描けるってことは素晴らしいと思います。(もっとも絵に表現するためのある程度のテクニックが必要というのは写真と同じでしょうが)そんな絵は写真よりも数段上の表現方法でしょう。ただし写真にはそんな制限がある分、それをどうやって克服するかのパズルみたいなものですからそこが面白いところです。しかしそれを本気でやろうと思えばカメラやレンズ、光関係の知識が必要となってくるのですよ。その点オレはそんな基礎知識の習得はすっ飛ばして人の真似をしているだけなので、かっちょいい写真が撮れることがあったとしても、それは本当に偶然の産物です。

そういう意味ではオレが撮るアメフトの写真も「あのプレーをこう見てた」という結果なんでしょう。よくボールと全然関係ない人たちを撮ったりするけれど、あれは試合会場に来ないと見られない風景だし、それはアメフトに限らず野球でもサッカーでもラグビーでも、あるいはその他のスポーツやそれ以外でも同じことです。現場にいて自分が面白いと思ったものを写真に撮る。それがオレのスタイルじゃ、と高らかに宣言して今回はおしまいであります。

f:id:tonytani37:20200712202741j:plain

先輩がエバってて後輩にシューズの紐を結ばせているわけではない(と思う)

で、終わらせようと思ったら書き忘れたことがあったので追加です。

ニューヨークのストリートファッションを長年撮影していた名物カメラマンにビル・カニンガムという人がいて、自転車に乗ってそれほど高級ではないニコン製の一眼デジカメを片手にニューヨークを走り回ってるこの人がイイ感じのカッコをしているのですね。オレにも自転車は愛用の流星号があるし、カメラはまあ似たようなクラスのソニー製を持ってるので、それ以外ではトレードマークだった同じような青いジャケットを着れば彼のようになれるかもしれないと思い、ブルーの作業着を探してみました。カニンガム氏のジャケットはフランス製の小洒落たものらしいんだけど日本で手に入れるには骨が折れそうだったので、ある日偶然見かけた同じような雰囲気のユニクロ製を買ってそいつを通勤時に着用して満足してます。オレのは少し厚手のコットン製のそれを着ては梅雨に入ってた最近では流石にちょっと暑い気もするけれど、電車内で冷房が効いてたりする中だとちょうどよかったりするし、地方都市在住の身としては通勤時間もそれほど長いわけではないから、もうしばらく着ることになるでしょうな。まあ見てくれの粋さ加減はカニンガム氏にはまだまだ30年くらい及ばないのが残念だけど。

f:id:tonytani37:20200712201405j:plain

ブルーの作業着を着てマンハッタンを颯爽と自転車で駆けまわるビル・カニンガム

f:id:tonytani37:20200712202028j:plain

顔だけロバート・レッドフォードなオレが着るブルーの作業着

そんなわけで、現場からは以上です。